第5回 東京身元保証ケーススタディカフェを開催しました!
3月19日、第5回となる「東京身元保証ケーススタディカフェ」を開催しました。
今回も、お仕事帰りにふらっと立ち寄れる“夜カフェ”のような雰囲気を大切にしながら、会場・オンラインの両方で実施しました。
今回のテーマは
「障碍者の意思決定支援 ~世界の先進事例と国内ガイドラインが示す『意思の尊重』~」
障碍のある方の支援では、「安全のため」「家族の意向だから」と、本人の気持ちより先に周囲が判断してしまう場面も少なくありません。
今回の勉強会では、世界で広がる支援付き意思決定(Supported Decision-Making)の考え方や、日本の意思決定支援ガイドラインを手がかりに、本人の意思を尊重する支援とは何かを改めて見つめ直しました。
「代わりに決める」から「決められるよう支える」へ
今回の講演で印象的だったのは、本人の意思を尊重する支援が、単に“自己決定を見守る”という話ではなく、周囲の関わり方そのものを問い直す視点だということでした。
たとえ障害や認知症などにより判断が難しい状況があったとしても、最初から「決められない」と考えるのではなく、
・伝え方を工夫する
・環境を整える
・本人が安心して話せる関係をつくる
といった働きかけによって、意思を引き出していくことが求められます。
ニュースレターでも紹介されていたように、支援の軸は「代わりに決めること」ではなく、「決められるよう支えること」へと大きく移りつつあります。
本人の声がはっきりと言葉にならないときも、過去の発言や生活史、価値観、日々の反応を手がかりにしながら、「その人ならどう選ぶだろうか」を丁寧に考えていく姿勢が大切だと共有されました。
「最善の利益」は、支援者の都合では決められない
勉強会では、本人の意思を推定することが難しい場合にのみ、「最善の利益」に基づく代行決定が必要になることにも触れられました。
ただし、その判断は支援者や家族の価値観で決めてよいものではありません。
あくまで本人の人生観や選好をできる限り尊重したうえで考えることが前提になります。
また、意思決定支援は一度きりで完結するものではなく、状況が変われば再び本人主体の意思決定へと立ち返る、連続したプロセスとして捉える必要があります。
現場で支援にあたる人ほど、「安全」と「希望」がぶつかる難しさを日々感じているからこそ、多職種で検討しながら本人の声をすくい上げ続ける姿勢の大切さが、改めて印象に残る時間となりました。
アンケートから見えた参加者の受け止め
終了後のアンケートでは、今回も多くのご感想をいただきました。
内容の満足度、わかりやすさについては、いずれも全回答で最高評価となっており、テーマの難しさがある中でも、参加者の皆さまにしっかり届いていたことがうかがえます。
印象に残った内容(自由記述より)
- 本人の過去から現在にかけての価値観をもとに、寄り添う姿勢が大切だと感じた
- たとえ判断能力が十分でなくても、権利の主体であるという考え方が印象に残った
- 理想と現場の差がある中でも、最適解を探り続ける重要性を改めて確認できた
- 「最善の解釈」「意思の推定」という視点が心に残った
- 最善の利益とは、本人の価値を最大限尊重することだという話が響いた
自由記述からは、制度や理論の説明にとどまらず、
「実際の支援の場面でどう向き合うか」
「本人の意思をどうくみ取るか」
という実務に引き寄せて受け止められていたことが伝わってきました。
今後、関心のあるテーマ
今後聞いてみたいテーマとしては、死後事務・相続のこれから、介護保険制度のこれから、身寄りのない高齢者支援のこれから、現場と制度のギャップなどが多く挙げられました。
そのほかにも、地域包括ケア、医療・福祉のDX化、身元保証業の料金やサービス内容など、現場の実務に直結するテーマへの関心が寄せられていました。
制度の話だけでなく、「実際にどうつなぐか」「どこを見て判断するか」といった具体的な視点へのニーズの高さを、今回も感じています。
“その人らしさ”を支えるために、支援者ができること
今回のケーススタディカフェを通して改めて感じたのは、
本人の意思を尊重する支援は、特別な場面だけに必要なものではなく、日々の関わりの中にある
ということです。
本人の言葉がすぐに返ってこないとき、判断が難しいと感じるときほど、支援者の側が結論を急ぎたくなることがあります。
それでも、「何を望んでいるのか」「どんな生き方を大切にしてきたのか」をていねいにたどっていく姿勢が、その人らしい暮らしを支える土台になるのだと、今回の勉強会は改めて教えてくれました。
東京身元保証・多幸会では、これからも制度と現場をつなぎながら、
「気軽に立ち寄れて、でも持ち帰るものがある」
そんな場として、ケーススタディカフェを続けていきたいと考えています。
ニュースレター4月号


